ブラック企業には、心身を病み、無用なトラブルに巻き込まれるリスクがあります。
「きちんと給料が出ない!」「辞めたいのに辞めさせてもらえない」などさまざまなリスクにさらされ、心身を病む人も多いものです。
そんなブラック企業を避け、優良なホワイト企業を見分ける方法を解説します。
ブラックな会社の求人には特徴がある
ブラック企業には、従業員への待遇や社内の環境などに特徴があります。
ところが、実際の待遇や社内環境は入社しないと分かりません。
しかし、就職・転職活動をしている人からしたら、できれば入社前にブラック企業かどうか判断したいものです。
そんな時に判断材料となるのが、ネットの情報や求人サイトの情報。
ブラック企業は悪い実態をそっと隠して求人募集しますが、ちょっとした表現方法などにブラックな体質が見えてしまうのです。
ブラック企業を見抜く方法
入社前にブラック企業を見抜くためには、情報集めが重要となります。
ブラック企業が発信する情報の中からリアルな実態を見極めましょう。
求人情報の内容からブラックを見抜く!
求人情報は、どんな企業でも良さそうに見える条件を書くものです。
しかし、その裏に隠されたひどい条件を記載の仕方などから見破ることができます。
会社側が「都合が悪いから隠しておこう」と思っている情報を見抜きましょう。
給料の金額
給料の記載で注目したいのは、金額です。
金額は、業種の平均給料と比べて低すぎたり高すぎたりしていないかチェックしましょう。
以下の表は国税庁の「平成28年分民間給与実態統計調査」による業種別の平均給与(年収)の一覧です。
最も低いのは「宿泊業,飲食サービス業」の234万円です。
業界平均と比べて低すぎるのはもちろん、高すぎるのも問題があります。
期待して入社したところ、あれこれ条件を付けられ、思ったより低い給料で働かされるかもしれません。
募集要項の給与欄や賞与欄をはじめ、現社員の給料モデルなどと比べると分かりやすいです。
給料の書き方
給料の書き方として要注意なのが、「みなし残業代」です。
- 一部残業代として含む
- 固定(みなし)残業代
- 月○○時間の残業を含む
上記の表現はみなし残業制度(法律では「みなし労働時間制」)を採っている会社の求人募集でよく見られます。
あらかじめ一定時間分の残業代を含ませておく制度で、制度自体は違法ではありません。
しかし、ブラック企業はみなし残業制度を悪用し、残業代を不当に支払わない、少ない残業代でたくさんの残業をさせることがあります。
実際には毎月の残業がどれくらいあるのか、決められた時間を超えた分の残業代の計算方法や申請方法などを、面接で答えてくれない会社は要注意です。
給与の上限と下限の差
給料の問題としては、金額の上限と下限の差が大きい企業も要注意です。
こうした企業はブラック企業と決まっているわけではありませんが、事業が安定しておらず、経営が不安定な可能性があります。
ブラックでなくても将来昇給しない、給料の不払いが起こるなどのリスクが考えられます。
求人情報のうたい文句
求人情報には、魅力的なうたい文句がたくさん飛び交うものです。
「自分も働きたい」と思うきっかけになることも多いでしょう。
しかし、このうたい文句には裏の意味が隠されている可能性があります。
- 若手が活躍(中堅が育たない・社員がすぐに辞める)
- 実力・成果主義(安定的な昇給や賞与がない可能性)
- 経験よりもやる気を重視(根性論・やりがいのない単純労働・使い捨ての可能性)
- 大量採用(社員がすぐに辞める・使い捨ての可能性)
採用の根拠が薄く、「若くて元気ならいい」「人さえ集まればいい」と短絡的です。
本当に人手不足に悩んでいる、一から若者を育てる気でいる会社の可能性もありますが、ブラックの可能性も高いでしょう。
有給の取得率/制度の利用率
こうした情報が明確に掲載されていない企業はブラック企業の可能性があります。
企業ホームページ・会社概要を見る
企業のホームページの会社概要からも得られる情報があります。
- 創業、設立年月(長く経営している会社か、新しい会社か)
- 従業員数、資本金(会社の規模)
- 売上高(安定しているか、規模に対して少なくないか)
- 何をしている会社か(事業内容があいまいなのは危険)
会社の安定性、企業としての信頼性などが分かります。
起業して間もない、従業員がやたらと少ない、売上が不安定、少ない場合には、ブラックな働き方になる可能性も高くなりそうです。
OB・現職社員に話を聞く
OBや現職の社員に話を聞ければ、リアルな現状を知ることができます。
新卒ならばOB・OG訪問、中途採用でもSNSやビジネスマッチングサイトなどで知り合える可能性はあります。
ネット検索(口コミ)で評判
実際に社員と知り合いになるのが難しい場合には、ネットの評判を調べるのも手です。
口コミサイトの退職した人の匿名での書き込みは、比較的辛辣な内容が多くなっています。
面接で直接様子を見てみる
求人票やネットからの情報だけでは、リアルな現状が分からないと感じたら、実際に面接で様子を見ることも大切です。
採用担当者の話し方や社内ですれ違う従業員の様子、社内の環境など、実際に見て、触れて、話すことで「怪しい」「不健康そう」など感じられるかもしれません。
ホワイト企業の特徴・ブラック企業との違い
ブラック企業を見破るためには、正反対であるホワイト企業との違いを探すのもおすすめです。
法に従い、正しい待遇を労働者に提供するホワイト企業とブラック企業との特徴の違いを比較してみましょう。
給与の規定
ホワイト企業とブラック企業では、給与規定の明確さが違います。
面接で給料規定について言葉を濁されるような場合にはブラックの可能性ありです。
給料について触れたい場合は「昇給の機会は年に何回ありますか?」「○○手当はありますか?」などの質問をしましょう。
ホワイト企業 | ブラック企業 |
給与規定が明文化されており、誰でも知ることができる。 | 給与規定はあいまいで、昇給は上司や経営陣が決める。
明確な理由のない減給もあり。 |
勤務時間
ブラック企業とホワイト企業では、勤務時間の考え方がそもそも違います。
違いは、実際の仕事の流れを質問すると、回答から読み取れます。
指示された出社時間と勤務開始の時間に差がある場合、注意が必要です。
「出社後の基本的な流れを教えてください」「配属予定の仕事の流れは?」といった質問が有効です。
ホワイト企業 | ブラック企業 |
営業時間に加えて、事務処理や開店準備も含む。 | 営業時間のみ。
事務処理や準備、片付けは勤務時間に含めない。 |
(ただし、時間にはある程度余裕をもって出社することは社会人としての常識です)
残業
残業のリアルな実態を知りたい場合には、営業時間外に会社(店舗や営業所)を訪れてみるのもアリです。
深夜まで明かりが灯っていて、働いているような場合は要注意かも。
(繁忙期があり、その間だけは忙しくなる業界もあるにはあります)
ホワイト企業 | ブラック企業 |
残業代は割増賃金を適用。
勤務時間内に終わる仕事量のため、残業は少ない。 |
基本的に毎日残業。
しかもサービス残業で、残業代を請求しても却下される。 |
福利厚生・有給休暇
福利厚生の充実や有給休暇を取れる環境があるかどうかも違います。
これも率直に面接で聞いてみると良いでしょう。
「有給取得率はどれくらいですか?」といった聞き方でOKです。
ホワイト企業の場合、最初から求人情報に有給取得率が掲載されていることもあります。
ホワイト企業 | ブラック企業 |
法定福利厚生である社会保険はもちろん、自社独自の手当や保養サービスがある。
有給休暇は繁忙期を除き、基本的に自由に取得可能。会社でも取得を促進している。 |
正社員なのに社会保険に入れない。(会社が未加入)
手当はもちろん、有給休暇がそもそもない。あっても名前だけで、上司に取得を拒否される。 |
社員の年齢
社員の平均年齢でもホワイト企業とブラック企業は見分けられます。
ホワイト企業 | ブラック企業 |
平均年齢は30代。
20代の社員から50代、60代まで幅広い年齢層が勤務している。 |
平均年齢がやたらと若く、一部の管理職に40代以上がいるのみ。 |
ホワイト企業の年齢の幅が広いのは、社員が若手から中堅、管理職まで順当に育っていっているから。
ブラック企業は、社員が育つ前に辞めていくため、平均年齢が若くなります。(一部の管理職のみ、甘い汁を吸っています)
部署ごとの従業員数
部署ごとの従業員数は、仕事量や残業量に関係してきます。
全体の従業員数は会社概要などで分かりますし、自分の部署については面接で聞けます。
ホワイト企業 | ブラック企業 |
部署ごとに十分な人員が配置されている。 | 部署によっては1人で回しているようなところもある。 |
部署の人員が十分でない場合、1人当たりの仕事量が増え、過重労働になりやすくなります。
また、従業員が足りないと、入社した社員の教育もできません。
ブラック企業では、忙しいからと仕事を教えることなく根性で解決させようとする、いきなり危険な現場に向かわせるといったこともあります。
ホワイト企業では、部署内でもしっかりと仕事を分業して進め、一人に仕事量が偏ることもありません。
社員教育は実践前に別途行うこともありますし、先輩社員が実践の中で教える土壌もできています。
ブラック企業の特徴を見極めて転職成功へ
ブラック企業には、労働者を搾取し、やる気を損なわせるような特徴があります。
就職や転職をする時も、入社前にブラック企業であることを見抜くヒントはあるので、厳しく見極めることが大切です。
ブラック企業とホワイト企業の特徴の違いを把握し、ブラック企業には関わらないようにしましょう。