パートは、働き方のひとつであり、正社員とは違ったメリット・デメリットがあるものです。
もちろん向いている人もいますが、もし向いていない場合にはパートになって後悔するということもあります。
特に正社員からパートになろうとする場合、慎重な判断が必要です。
正社員からパートタイマーとして働きたいと思ったら、後悔しないように、メリットとデメリットを比較しておきましょう。
正社員を辞めてパートになろうとしている人へ
正社員をしていると、ライフスタイルの変化などによって「パートになった方がラクかも」と感じることがあります。
しかし、正社員という立場はパートよりもさまざまな面で優遇されており、簡単に手放すと後悔するかもしれません。
一度正社員を辞めると、簡単に戻れないこともあるため、正社員からパートになる際には後悔のない選択をしてほしいと思います。
自分のキャリアを慎重に検討して決定を
正社員を辞めてパートにはいつでもなれますが、一度パートになると正社員に戻るのは難しいものです。
そこを考慮して、本当に正社員を辞めてもいいか、戻れなくても後悔しないか、まずは慎重に検討しましょう。
パートになると、以下のような変化が起こり、キャリアを積んできた人もこれまでのようにバリバリ働けなくなることがあります。
- 正社員の補佐的な仕事がメインになる
- スキルの要らない単純作業が多くなる
- 会議に出られなくなる(出る必要がなくなる)
- 昇進や昇給の仕組みがも変わる(パートは役職に就けないなど)
会社としては同じスキルやキャリアの職員を働かせるなら、パートの方が気楽で安心です。
(経営状態が悪くなった時など簡単にクビを切れるし、働く時間を制限して給料をコントロールできるし) だから、会社は、一度パートになった人をまた正社員に戻したがらないこともあります。 また、転職でパートになった場合も、パートから始めて正社員に昇り詰めるのも大変です。 |
正社員のまま時短や部署替えできないか確認を
正社員の仕事や待遇に未練がある人は、正社員のままで働き続ける道を模索しましょう。
パートに変えるのではなく、一時的な時短勤務への変更や部署異動など、可能な方法はないか、会社に掛け合ってみることをおすすめします。
また、就業規則にも目を通しましょう。
就業規則の時短勤務のルールが利用できるかもしれません。
法律では、3歳までの子供がいる社員に対し時短勤務を認めなければいけないと定められています。
会社ごとに独自の時短勤務のルールを定めていることもあるため、就業規則で、「何歳まで、どれくらいの時短ができるか」確認することが必要です。 |
パートで働くことのメリット・デメリット
パートで働くことには、正社員と比べて良い面と悪い面があります。
良い面も多いのですが、一度正社員を辞めたら戻れない可能性もあるため、悪い面をしっかりと見ておくことが大切です。
求人応募でのメリット
これまで何も仕事をしていなかった人にとっては、パートは働き始めやすく、メリットが多いかもしれません。
また、新分野の仕事を試しにやってみたい人、期間限定で働きたい人にもうれしいことが多い働き方です。
比較的手軽に働ける
パートは、雇用する会社側も非正規雇用で期限がある雇い方なので、そこまで慎重に採用選考を行いません。
そのため、正社員よりも気安く働き始められることが多くなります。
新人研修なども大掛かりなものはなく、採用後、比較的早く現場に入れます。
座学の講習などが苦手な人も安心です。
正社員よりも求人が多く、仕事を選びやすい
パート求人は正社員の求人よりも多く、さまざまなジャンルで募集しています。
そのため、好きな仕事を選びやすく、楽しく働けそうです。
大企業やハイブランドのショップなど、正社員のハードルが高い仕事も、パートなら採用される可能性が高くなります。
派遣社員も、大手や憧れの企業で働きやすいですが、派遣の場合には自分で自由に会社を選んで応募することは基本的にできません。
派遣は派遣会社が持っている派遣求人からしか選べないためです。
特定の期間のみ働くことも可能
- 子どもが小学生になるまで
- 配偶者の転勤の辞令が下りるまで
- マイホーム資金を貯めて新居に引っ越すまで
- 親との同居を始めるまで
などと特定の期間だけ働きたい場合にも、パートは仕事を探しやすくなります。
パートの雇用契約は有期雇用で、期限が決められており、その期限が切れた時に契約更新しなければ契約満了となり、辞められます。
また、正社員よりも仕事の責任が小さいことも多く、自分の辞めたい時に辞めやすい傾向もあります。
とはいえ、(試用期間後)数ヶ月で辞める、突然辞めたいと言い出す、バックレるなどは、迷惑になる可能性が高いため避けましょう。
未経験でも採用されやすい
パートは未経験の仕事も豊富で、就労経験があまりない人でも働くチャンスがたくさんあります。
やってみたい仕事がある場合、パートでやってみて本気で目指すか検討するのも良さそうです。
働き始めてからのメリット
パートとしての働き方は、人によってはメリットが多いと感じられます。
就労環境など、働き始めてから感じるメリットを紹介します。
都合に合わせて働ける
パートは、正社員とは違って短時間労働です。
また、週3回勤務、週4回勤務、土日のみなど、働く曜日や回数も契約の際に相談できます。
求人を見ても「週〇日~、一日4時間~OK」といった書き方がしてあり、自分の都合に合う働き方を選びやすくなっています。
自分の都合に合わせた働き方ができるため、プライベートや子育てなど、自分の時間や家族との時間を大切にできます。
業務内容の負担が減る
パートの仕事は、正社員よりも責任が軽く、作業内容も単調なものが多くなります。
誰でもできることも多いため「自分がやらないと仕事が回らない」といった責任や「失敗したらどうしよう」といった精神的な負担がありません。
正社員時代に、仕事の責任の重さに押しつぶされ、メンタルが病んでしまった人などは、パートで働きながら精神の健康を取り戻すのも良いでしょう。
休みが取りやすくなる
パートは正社員と比べて、休みも取りやすく、子どもが小さい、介護や援助が必要な家族がいるといった人も安心です。
パートは基本的に休んだら(有給休暇以外は)自分のお給料が減るだけです。
仕事の責任も少なく、自分が休んでもそれほど大きな支障はありません。
そのため、学校行事などのあらかじめ分かっている休みはもちろん、子どもの病気など、急な休みも取りやすくなります。
残業が無く定時に帰れる
パートも残業をすることは可能ですし、条件を満たすと正社員と同じように残業を命じられることはあります。
基本的に、労働者としての残業義務は正社員もパートも同じです。
しかし、やはり現実的には、パートの方が正社員よりも残業は少なく、定時に帰りやすくなっています。
働き始めてからのデメリット
パートは、働き始めてから就労環境に不満を感じることがあります。
求人応募の段階では明確なデメリットはないため、始める前のラクさに釣られて後悔しないように、働いてから起こりえるデメリットを十分に予測しておきましょう。
収入が少なくなる
正社員からパートになった時に感じやすいのが、手取り収入の大幅ダウンです。
正社員の時には固定給でしたが、時給になり、働く時間も減るため、収入が少なくなるのは避けられません。
子育てのためにパートになろうとする場合、教育費や食費など、成長とともに増える費用についても考えた上で決める必要があります。
- 自分がパートになっても将来必要となる教育費を確保できるのか
- 食べ盛りの子にかかる食費はいくらくらいになるか
など、収入が少なくなる上で考えておくべきことは山積みです。
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パートではなく起業という道も。
福利厚生が正社員より落ちる
パートになると、正社員よりも福利厚生サービスも悪くなることがあります。
非正規雇用と正規雇用で差をつけてはいけないと法で定められてはいますが、短時間労働や仕事内容の範囲を理由に研修や手当の質が落ちるかもしれません。
※社会保険などは、労働日数や時間数が大幅に減ると配偶者の扶養に入れることもあります。(↓↓関連記事)
仕事内容に満足出来ない
正社員からパートになった時、仕事内容が変わり、それに伴って仕事へのやる気ややりがいを失うこともあります。
パートの仕事は、正社員よりも難易度が低く、単調なルーティンワークが多くなりがちです。
また、継続やチャレンジによってステップアップする仕事も減ります。
そのため、仕事が面白くない、お金のためだけに働くといった心境にもなりやすいものです。
正社員からパートになって感じること
正社員からパートになることにはメリットもデメリットもあります。
そうした両面を経験した上で、パート職員が現実的に感じるのはどのようなことでしょうか?
プラス面
精神的に楽になった
正社員からパートになって、精神的な負担が減ったと感じる人は多いようです。
仕事の内容が簡単になり、上司からも責任を追及されることが減るためです。
パートの仕事は単調で退屈とも言えますが、反対にいえば気楽にできます。
仕事以外に夢中なことがある人、家庭第一にしたい人には快適に感じられるでしょう。
子どもと過ごす時間が増えた
パートの仕事は短時間かつ曜日など限定で働けます。
そのため、空いた時間や曜日を家庭のために使うことができ、子どもとの時間も増やせます。
フルタイムの正社員をしていて、子供とのコミュニケーションが不足していると感じていた人にとっては、幸せな時間を満喫できそうです。
マイナス面
正社員と対等に話せなくなった
正社員からパートになると、仕事の責任や働く時間、仕事の内容が違ってきて、正社員との間に壁を感じることもあります。
長時間労働や責任のある立場が偉いわけではありませんが、どうしてもパートは下に見られて、正社員と対等に話せなくなるという人も多いものです。
特に辛いのは、同じ会社で正社員からパートに変わった時です。
これまで一緒に働いてきた同僚や同期が「パートだから」と自分に対し、軽んじる態度を取るようになることもあります。
将来やキャリアが不安になった
短時間労働で働きやすいパートになったものの、ふと将来の収入や自分のキャリアが不安になることもあります。
子供の手が離れた後や介護が終わった後、正社員になろうと思っても、パートになる前と同じ条件で正社員に戻れる保証はありません。
年齢が高くなっているため、今よりも転職は不利になることもあります。
そうした事情を考えると、将来が憂鬱になる人も多いようです。
パートは楽だけど将来性・やりがいがないことも
パートは、雇用されやすく、仕事内容も楽です。
そのため、子育てや介護が大変だったり、仕事が辛くなったりすると「パートになろうかな」と考えることもあります。
しかし、その反面、将来性やキャリアアップの不安があったり、やりがいややる気を失うこともあります。
パートにならないと現状を改善できないか、パートが自分に向いているか、メリットもデメリットも考えた上で慎重に選択しましょう。