豆知識・雑学

ホワイト企業は神話?優良企業のブラックな一面と本当に良い会社の基準とは

ブラック企業とはどんな会社のことだか、はっきりと答えられますか?

会社の良し悪しは一概に決められるものではなく、「この会社はブラック企業」「こっちはホワイト企業」と言いきれないこともあります。

また、ブラック企業は「怖い」「あくどい」「避けなければいけない」と考えられていますが、そこでイキイキと働ける人もいます。

そんなあいまいで分かりにくい部分もあるブラック企業の線引き、判断方法についてまとめました。

ブラック企業とホワイト企業とは

ブラック企業とは、労働関連法規に従わず、労働者を酷使する会社のことを指す言葉です。

ブラック企業に勤めると心身をすり減らし、つらい目に遭うと考えられています。

その反対に、法を順守して労働者を大切に扱い、生き生きと働きやすい会社をホワイト企業と呼ぶこともあります。

ただし、こうした区分けには明確な基準があるわけではありません。

法律を守っているか否かで決めるのは簡単ですが、法を守っていてもブラック体質を持つ企業はあります。

また、人によってはブラック企業でもやりがいを持って働けることもあります。

このため、表面的な条件だけを見て、安易にブラック企業だからNG、ホワイト企業だから大丈夫と決めるのは得策ではありません。

違法に労働者を酷使するなど、明らかなブラック体質は当然、避けた方が安心です。

しかし、状況によっては慎重に見極め、自分との相性次第でブラックかホワイトかを決めた方が良いケースもあります。

ホワイト企業に潜むブラックな側面

ホワイト企業は、法的に正しい条件で労働者を雇用している会社ですが、だからといって全てのホワイト企業が働きやすいとは限りません。

ホワイト企業の中にも、ブラックな状況が発生している可能性があります。

ホワイトだからこそ起こりえるブラックな側面を知っておきましょう。

プロパー社員から中途入社への差別

ホワイト企業はブラック企業とは違い、新卒で入社した生え抜きのプロパー社員がたくさん残っていることがあります。

労働条件が良く、従業員が頻繁に辞めないために起こることです。

それ自体は良いのですが、このプロパー社員が中途入社の従業員に対して「自分たちは特別だ」という差別的な態度を取る場合があります。

この要因は、新卒からずっと会社に勤めていることに誇りを持っていることです。

こうした差別は表面的には見えにくく、中途入社した後で「なんとなく居心地が悪い」と感じることがあります。

根強い年功序列

順当に昇進や昇給する仕組みが確立されたホワイト企業だからこそ起こる問題もあります。

長年勤めた従業員たちが築いた年功序列の体制は、若い従業員や中途入社の実力ある従業員を苦しめるかもしれません。

実力や実績を評価されない給与体制

給与体制が年功序列で成功してきたホワイト企業の場合には、その体制を変えられない、変えようとすると古い従業員から反発されることもあります。

また、業績も安定しているため、起爆剤のような斬新な企画や提案を必要とせず、若く優秀な人材が力を発揮できないこともあります。

そのため、実力のある従業員が実績を積んでも、飛び級的に昇進や昇給することもなく、優秀な人材がやりがいを感じられません。

勤続年数が長ければ実力がなくても昇給・昇進

勤続年数さえあれば昇進や昇給できる年功序列のシステムは、優秀な先輩社員や上司を作りにくくします。

このような場合、会社自体はホワイト企業でも、配属先で仕事ができない、ブラックな体質を持つ上司などに出会ってしまうこともあるでしょう。

これも、入社して配属が決まるまで分からないことです。

見た目の待遇は良くても実態は違うことも

ブラック企業とホワイト企業の区別を求人情報だけで判断すると、入社してから困ることになりかねません。

求人では良いことばかり書いて、見た目の待遇をよくしておき、実際に入社してから理由をこじつけて悪い待遇を押し付ける企業もあります。

書かれている条件がホワイトでも、それが嘘か本当か見破ることが必要です。

ブラック企業を見抜いて避けるには?就職・転職でホワイト企業の求人探し

ホワイト企業ならではのデメリット・大変なこと

ブラック企業は入社したら大変、とよく耳にしますが、実はホワイト企業でも大変なことはあります。

ホワイト企業だから安心、快適に勤められると安穏としていると、うっかり足元をすくわれることもあるため注意しましょう。

短時間で成果を求められる

ブラック企業は社員を酷使しますが、ホワイト企業だからといって仕事をしなくていいわけではありません。

むしろ適量な仕事をしっかりと任され、責任を持って取り組むことが求められます。

無駄な残業もしない風土なので、勤務時間内で与えられた仕事をやり切り、成果を出すことが必要となります。

そのため、ホワイト企業に入っても、能力のない社員ややる気のない社員は苦労するだけです。

待遇はいいから転職に踏み出せない

ホワイト企業に一度入ってしまうと、待遇の良さにぬくぬくと甘んじて先へ進めないことがあります。

違う分野に進みたい、業務内容に物足りなさを感じてきたといった不満があっても、今の待遇を捨ててまで動けなくなります。

安定はしているけど、やりがいが感じられない……贅沢な悩みですが、ともすると毎日に楽しみを失い、病む原因になる可能性もあります。

ホワイト企業なのにブラックに見えるケース

本当はホワイト企業なのに、表面的にはブラック企業のように見えることもあります。

繁忙期が著しく忙しい業種・職種

季節の商品やサービスを扱う業種の販売員や営業マンなど、繫忙期と閑散期の差が激しい場合、一見ブラック企業に見えることがあります。

こうした企業では、繁忙期には有給休暇も取りにくく、残業も増えます。

しかし、その一方で閑散期などに埋め合わせができるようになっています。

繫忙期だけ見るとブラック企業に似た過酷さを感じますが、休める時にはきちんと休んでいるためブラックではありません。

土日出勤や遅番が多い業種・職種

休日や一般企業の終業後の来店をターゲットにした接客業などでは、土日出勤や遅い時間の勤務が多くなります。

そのため、一見ブラック企業のように見えてしまいますが、労働時間や休日を法律に従って設定してあればブラック企業ではありません。

多いのは、飲食業やレジャー関係、フィットネスジムなど、客入りが休日や仕事帰りに集中する仕事です。

こうした業界では、土日出勤で平日休み、平日は午後から出勤などのシフトで動いています。

社員の独立起業を推進している会社

社員の独立起業を推進しており、若いうちは修行のためにどんどん働かせる方針の会社もあります。

こうした会社では、あらかじめ従業員もそのつもりで入社しており、納得の上でハードな仕事をこなしていることが多いものです。

法的に問題ない範囲でやっている分には、これもブラックとは言えません。

残業が多くなる場合には、あらかじめ「36協定」を交わすことで、今の法律の上限まで時間外労働を伸ばすことができます。

※上限は月45時間・年360時間(臨時的な特別の事情がある場合年720時間以内)です。

36協定で定める時間外労働及び休日労働について留意すべき事項に関する指針|厚生労働省

社員の平均年齢が低い会社

ブラック企業の特徴として、社員の平均年齢が低いことを挙げることがあります。

しかし、平均年齢が低いことだけではブラック企業とは決められません。

もちろん、従業員がどんどん辞めているために平均年齢が若いこともありますが、スタートアップ企業だから平均年齢が若いこともあります。

ブラック体質でも個人的にはOKなこともあるケース

ブラック企業だったとしても、自分自身が納得している場合には働いても困らないことはあります。

個人の事情でブラック企業でも快適、少なくとも問題を感じないのは以下のようなケースです。

悪条件でもスキルを身に付けられるケース

悪条件での採用でも、業種や職種が特殊なもので、その会社でしかスキルを身に付けられない場合、スキルを目当てに就業することはあります。

スキルを身に付けるまでの我慢と思えば、割り切って働けるケースもあるでしょう。

長時間労働でも36協定に従い残業代を払っているケース

長時間労働はブラックな体質の特徴です。

36協定でも、「できるだけ残業させないように」との添え書きがあります。

しかし、たとえ長時間労働になってしまっても、36協定の範囲内にとどまり、残業代も割増賃金を支払っている場合には、ブラックな体質ではあるものの納得できる状況です。

人によっては、残業代を稼ぎたいからとハードな職場に身を置くこともあります。

上司の口が悪いけど、言われた当人は気にしてないケース

古い体質や体育会系、職人気質など、そもそも職場の人たちがみんな口が悪いこともあります。

そんな職場でも、上司の口の悪さや粗っぽさが気にならない人にとっては、特にブラックでもなんでもありません。

社内環境の改善が騒がれている昨今ですが、実際には荒っぽい職場はまだまだ多いものです。

鈍感力の優れた人や元ヤン、不良学校に通っていた人、自分も口が悪い人などは意外とうまくやっていけるかもしれません。

ブラック企業とホワイト企業の判断基準は自分の中にある

ブラック企業とホワイト企業の判断基準は、実はあいまいです。

見るからに劣悪で、違法なブラック企業はもちろんありますが、ホワイト企業に見える会社でもブラックな面を持っていることもあります。

また、ブラックな体質の会社であっても、本人が良ければ問題はありません。

法律に背いていないことなど、基本的な部分は抑えつつも、最後の見極めは自分自身の基準で行いたいものです。

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