フリーターは自由というメリットもある反面、収入面などでデメリットもあります。
フリーターという働き方を検討中、もしくは選択しようと思っている人は、そのメリットデメリットの両面をじっくりとチェックしておきましょう。
フリーターと正社員、どちらが正しいとは言えません。
実際にどんな将来が待っているか理解した上で、できるだけ自分の希望に合う働き方を選ぶことが大切です。
フリーターと正社員の違い
正社員はよく、フリーターの比較対象となりますが、実際にその働き方は正反対です。
精神面や金銭面で、どんな違いがあるのか知ることで、自分にどちらが合うのか考えてみましょう。
正規雇用と非正規雇用の違い
正社員は正規雇用、フリーターはアルバイトなので非正規雇用です。
正規雇用とは、期限が決まっていないフルタイムの雇用形態を指します。
定期的な昇給やボーナス、退職金制度、福利厚生サービスなどがそろっており、長く安定的に働き続けられます。
一方、非正規雇用は雇用の期限が決められている「有期雇用」です。
働く期間は雇用契約の際に約束を交わします。
非正規雇用は、正規雇用ほど会社に縛られず、副業や兼業なども可能です。
仕事の責任の重さの違い
仕事の責任の重さは、正社員の方が圧倒的に大きくなります。
フリーターは重要な仕事を任されることは少なく、ミスをしても大抵は上司や責任者である正社員が責任をとります。
フリーターと正社員の給料比較
フリーターの生涯収入は5,000万円~8,000万円程度、一方、正社員は生涯で2億円~3億円とも言われています。
厚生労働省の「令和2年賃金構造基本統計調査」では、雇用形態別にみた賃金を以下のように発表しています。
厚生労働省「令和2年賃金構造基本統計調査」より
働き始めたばかりの若い頃にはさほど差を感じません。
むしろ手取りではフリーターの方が稼げるように思うこともあります。
しかし、年数が経過するごとに正社員の昇給の幅が大きくなっていき、30代ではその差は歴然となっていきます。
総務省「就業構造基本調査」の「非正規労働者の転職状況」でも、
非正規雇用労働者の約4分の1が転職後は正規の雇用者を選び、
その転職希望理由として3割程度の人が「収入が少ない」を挙げています。
フリーターの10大メリット・デメリット
フリーターの持つ10個のメリットと10個のデメリットについて解説します。
フリーターは良くも悪くもフリーで、正社員よりも自由であり不安定な存在です。
フリーターの良さも悪さも知った上で、働き方を選びましょう。
フリーターの10個のメリット
フリーターの10のメリットを紹介します。
責任が軽いので精神的に楽
正社員と比べると責任が軽く、重要な仕事を任されないフリーターは、精神的に楽です。
失敗しても、せいぜい上司などに叱られる程度で、責任を取るために奔走することはありません。
仕事以外のことに集中しやすい
フリーターは仕事が簡単なので、片手間に働いて、あとは仕事以外のことを考える余裕がたっぷりあります。
夢を叶えるための準備、資格試験の勉強、起業準備など、打ち込むべきことが他にある場合も効率的です。
いろいろな人に出会える
フリーターは、いろいろなバイトを転々としたり、バイト以外の趣味や生きがいに精を出したりすることができます。
そうした生き方、働き方を通して、いろいろな人に出会うチャンスも多くなるでしょう。
たくさんの友達を作ることやいろいろな人の価値観に触れることは、人生を豊かにするコツでもあります。
フリーター時代を通して、将来のビジネスに役立つ人脈を作れたという人もいます。
気楽に仕事を辞められる
フリーターは、非正規雇用であり、正社員よりは簡単に仕事を辞めやすくなります。
いきなり「今日で辞めます」はフリーターでもルール違反ですが、引き継ぎも少なく、最短で辞められそうです。
働く時間や曜日の自由が利きやすい
フリーターは、希望するシフトで働くことができ、正社員のようにフルタイムで拘束されることはありません。
時間や曜日など、自由が利くため、好きなタイミングで休暇を取って遊んだり旅行に行ったりしやすくなります。
転勤が無い
フリーターは、店舗ごとや支店や支社ごとに雇用されるため、転勤がありません。
また、雇用契約書で転勤なしと定められていることも多いものです。
転勤がないため、自分の暮らしやすい場所で生活でき、引っ越しの手間なども回避できます。
働いた分だけ収入になる
フリーターは、時給制や日給制で働くため、自分が働いた分だけ収入が得られます。
やる気がある時にみっちりと稼いで、やる気がなくなったらお休みをたくさん入れるなど、働き方の調整もしやすくなっています。
副業や他のバイトの掛け持ちができる
フリーターは、副業や仕事の掛け持ちができます。
正社員になると副業や兼業を禁止していることも多いですが、フリーターにはその縛りがありません。
正社員の副業も認められ始めていますが、やはりまだ禁止が多いようです。
遊びやデート・飲み会などに参加しやすい
フリーターは、シフト制で働くため、遊びやデート、飲み会などの予定も立てやすくなります。
ただし、アパレルなど業種によっては土日の休みが取りにくいこともあります。
おごってもらいやすくなる
フリーターは、正社員の人からおごってもらいやすく、お得です。
おごってもらいやすい理由は、フリーターは正社員より収入が不安定だから。
場合によっては、同級生や同年代の人からも同情しておごられることがあります。
フリーターの10個のデメリット
フリーターにはデメリットもあります。
場合によっては、生活苦の恐れもあるため、慎重な判断が必要です。
雇用が不安定でクビになるリスクがある
フリーターは非正規雇用なので、正社員よりも先に経営不振や不況のあおりを食らいます。
正社員をクビにしたり減給したりするのは難しいですが、バイトやパートであれば比較的簡単にクビにしたりシフトを減らしたりできます。
昇給・賞与が望めず正社員よりも給料が少ない
正社員では、少なくても毎年の昇給や年2度ほどのボーナスがありますが、フリーターにはありません。
若いうちは働いている年数が少ないため、差はほとんどありません。
ところが、年数を経ていくうちに正社員は給料が上がり、フリーターはそのまま変わらずいつの間にか差が開きます。
収入が安定しない
フリーターは、けがや病気で働けないと収入がなくなるなど、収入が安定しません。
有給休暇もありますが、働き方や雇用のされ方によっては有給が発生するほど働けないこともあります。
また、有期雇用なので、仕事がなくなって収入が途絶えることもあります。
社会保険・福利厚生・有給休暇がほとんどない
フリーターでも働き方によっては利用できることはありますが、正社員ほど優遇されていません。
特に、正社員の社会保険は、保険料を企業も半分負担してくれるため、非常にメリットが大きいです。
社会保険には入れなければ、自分でお給料の中から国民健康保険料や国民年金保険料を支払うことになります。
将来もらえる年金も少なくなる
会社の加入している社会保険が使えなければ、おのずとフリーターは国民年金に入ることになります。
国民年金は基礎年金と呼ばれるもので、会社員はそれに上乗せして厚生年金をもらえます。
そのため、国民年金のフリーターは正社員の人よりも将来もらえる年金は少ないのです。
クレジットカードやローンを利用しにくい
フリーターでも利用できるクレジットカードやローンはありますが、その範囲は正社員より狭くなります。
そのため、自分が作りたいカードが作れなかったり、組みたいローンが組めなかったりといった不利益を被ることもあり得ます。
特に、マイホームローンはフリーターでは難しいでしょう。
専門的なスキルが身に付かない
フリーターは、仕事の幅が狭く、長く勤務していても難しい仕事や専門的な仕事は任されません。
そのため、専門的なスキルなどは身に付かず、仕事での強みを持ちにくくなります。
今後、転職する場合も自信を持ってアピールできるスキルがないと不利です。
社会的信用がなく世間体が悪い
フリーターは、世間一般の印象として、社会人として一人前ではない、甘いなどと思われがちです。
正社員と変わりなく、むしろ一生懸命に働いていても、フリーターだからというだけで差別的な扱いを受けることもあります。
また、古い考えの親世代などから、世間体が悪いからと正社員就職をせっつかれることもあります。
結婚相手としての信頼度が低い
フリーターは社会的な信用度が低いため、結婚相手としてもあまり歓迎されません。
特に男性は、公的なデータでもフリーターの結婚できる確率は正社員より低いことが分かっています。
以下のデータは、男性の雇用形態別の有配偶率です。
(女性は結婚や出産の結果、雇用形態を変える人がいるため、この統計では対象外にされています)
自分自身に引け目を感じる
以上のように不利なことも多く、世間の目も冷たいため、フリーターであることを悪いことのように感じてしまうことも多いものです。
やりがいを持ってフリーターをしている、将来のためなど事情がある人なら、堂々と自信を持って自分の道を突き進んでも良いのではないでしょうか。
>>正社員・会社員のメリット・デメリットとは?フリーランス・アルバイトと比較
デメリットに不安をもったらフリーターから正社員の道も検討しよう
フリーターにはメリットもデメリットもあることが分かりました。
どんな働き方でも不満や心配事が出ることはあります。
しかし、フリーターに不便や将来の不安を感じたら、それは正社員就職で解消できます。
フリーターの正反対の働き方・立場である正社員になることも選択肢に入れて、検討してみましょう。