確定申告歴10年以上・簿記資格保有の筆者が、青色申告の必要書類と手続きの方法を分かりやすく解説します。
こんな人に読んでほしい!
- できるだけ簡単に節税で得したい
- 青色申告は難しそうで抵抗がある
- 白色申告してきたけど青色に変えたい
青色申告とは
青色申告とは副業をしている人やフリーランスの確定申告の方法の一つです。
白色申告とは以下の点が異なります。
白色申告 | 青色申告 | |
手続き方法 | シンプルで簡単
知識が必要ない |
事前申請が必要
複式簿記の知識が必要 必要書類が難解 |
特別控除 | なし | あり(最大65万円) |
赤字の繰越し | なし | あり(3年) |
減価償却が必要な金額 | 10万円以上 | 30万円以上 |
年数のルールは買ったものによって定められています。
青色申告はメリットが多いので、ある程度まとまった収入を得ている人はぜひチャレンジしましょう。
青色申告のメリット・デメリットとは?事前に申請だけでもしておきたい理由
青色申告する事前準備
青色申告の準備は、開業、もしくは思い立った日から始まります。
その年の収入を青色申告したいなら、早めに準備を始めましょう。
青色申告承認申請書を出す
青色申告したい人は、「所得税の青色申告承認申請書」を提出しないといけません。
申請をしないと自動で全員白色申告になるため、青色申告したい人は必ず出しましょう。
開業日から2カ月以内に出すのが原則。
すでに開業していた人は、青色申告したい年の3月15日までに出す必要があります。
期限を守って申請すると、翌年3月に行う確定申告は青色申告が可能となります。
これから開業の人は、開業届と一緒に青色申告の申請書も出しておきましょう。
青色申告の申請をしても「青色申告⇒⇒⇒白色申告」の変更はいつでも可能です。
詳しいルールは以下の記事をチェック!
個人事業主の開業届・青色申告承認申請書の提出ルールとは?提出方法とメリット・デメリット
領収書、請求書をまとめて取っておく
領収書や請求書は、経費を計上する時に使います。
経費を計上すると、その分収入から経費を引いて、税金がかかる金額を小さくすることができます。
事業用に使っている口座はこまめに通帳記帳を
事業用に使っている銀行口座がある人は、通帳記帳は小まめに行いましょう。
銀行によっては、まとめて記帳できる取引件数が決まっていて、件数が溜まり過ぎると記帳できないことがあります。
後からでも、直接問い合わせれば、取引履歴を教えてもらうことはできますが、面倒で時間もかかるので、月1回程度は記帳しておきましょう。
青色申告書類を作成する
青色申告で必要な書類は、
- 青色申告決算書
- 確定申告書
の2種類です。それ以外にも
- マイナンバーカードのコピー
- 控除証明書
などを添付する必要があります。(電子申告の場合には、提出は省略できます)
帳簿や請求書、領収書は提出する必要はありませんが、法律で帳簿は最大7年間保管しておくことになっています。
自分で計算したり書類を記入したくない人は、
「副業・フリーランスの青色申告がラクラク快適に?「弥生会計」のクラウド確定申告ソフトを紹介」をご覧ください。
所得税青色申告決算書
青色申告決算書の書式です。4ページでワンセットになっています。
一枚目は損益計算書です。
上部には住所や氏名、業種などを記入します。
あとは左側から順に、売上・仕入・在庫(あれば)の総額、左~中央にそれぞれの経費(勘定科目ごと)、右側には貸倒引当金と青色申告の控除額を記入します。
最後に、売上から経費を引き、さらに控除額を引いて所得額を出します。
2枚目は管理人の昨年度の書類を流用して説明します。
今度は、毎月の売上金額・仕入金額(全部隠してありますが、12カ月分、1カ月ごとに書きます)と雑収入の合計、従業員がいる場合には、従業員の給料も記入します。
右下には青色申告控除前の所得額、そして再び控除額を記入します。
3枚目は損益計算書の続きで、減価償却費、利子割引料、地代家賃の内訳、税理士などへの報酬を記入します。地代家賃は、総額と家事按分した金額を両方書きます。
4枚目は貸借対照表です。
良く見たら、貸借対照表には氏名欄がないんですね。
機首と期末の残高を「資産の部」「負債・資本の部」に分けて記入します。
また、製造原価の計算は右側に記入します。
ライターやアフィリエイターなど、製造しない人には関係ありません。
確定申告書B第二表
住所、屋号、氏名を書いた後、
- 源泉徴収された所得額
- 雑所得
- 生命保険や社会保険などの控除
の金額を埋めていきます。
ライターやイラストレーターの請負の仕事でも、所得税の源泉徴収をして支払いしてくれる会社があります。
「会社員とは違って所得税は引かれてないだろう」
と安心していると、余分に税金を納めていることをうっかり見逃す恐れがあるので、しっかりと確認しましょう。
また、この表の一番下には「 住民税・事業税に関する事項」があり、扶養家族のいる人はこちらにも記入します。
確定申告書B 第一表
一番上は住所や氏名など。漏れなく記入します。
上は収入金額、下は所得(収入から経費を引いて青色申告控除した後)の金額を書きます。
副業やフリーランスで得た収入は、一番上の「事業」の「営業等」に入ります。
さらに所得から差し引く金額をそれぞれに記載します。
社会保険料控除などは、第二表に書いた控除の金額と同じことを書きます。
寡婦・寡夫控除、扶養控除、基礎控除など、必要な金額を書き込み、最後に合算です。
寡婦・寡夫控除は、27万円、35万円の控除があります。
※「ひとり親控除及び寡婦控除に関するFAQ(源泉所得税関係)」
扶養控除は最大38万円、基礎控除は2020年から38万円→48万円になりました。
一番上に所得金額から「所得から差し引かれる金額」の合計を引いたもの(⑨-㉕)を記入して、「所得税の速算表」で税額を探し、記入します。
「その他」の欄には、他に控除したものがあれば記載を。
最後に当てはまるものがあったら記入して、税金を還付してもらえる(税金がマイナスになった)人は受け取り方法も書きこみます。
国税庁確定申告書等作成コーナー
ちなみに、国税庁にはe-Tax(電子申告)での申告や書類作成ができる「確定申告書等作成コーナー」があります。
以下の書類を持っている人は、↑↑真ん中にある「ID・パスワード方式」で提出可能です。スマホでも申告できます。
赤枠の部分を登録して、書類作成を進めます。
書面は確定申告書類と同じような形式で、分かりやすいです。
青字になっている部分をクリックし、金額を登録します。
簡単な説明は以下の動画で見ることもできます。(3:40~説明です)
参考:国税庁 所得税の確定申告
節税効果を目指して青色申告にチャレンジを
青色申告は、決算書を作成するのが少々手間ですが、節税効果も高いので、チャレンジしてみる価値はあります。
複式簿記で帳簿を付ける必要があるため、もし自分で帳簿を作れないようなら会計ソフトを活用しましょう。
会計ソフトを使うことで、手間も時間も短縮して、その分仕事に注力できます。