今月は物入りだったから、早めにお給料がほしいな。
給料日まで生活費が持ちそうにない!
そんな時、サラリーマンが利用できるのが給料ファクタリングです。
給料ファクタリングは、会社や個人事業主対象のファクタリングの会社員用バージョン。
ファクタリングとは何か、どんなメリットやデメリットがあるか、チェックしてみましょう。
中には怖~い悪徳違法業者もいるようなので、トラブルを避けて安全に使うための方法も紹介します。
給料ファクタリングとは?
給料ファクタリングとは、会社から支給される給料を給料日の前に現金化するサービスです。
もともとは売掛債権を元手に行うファクタリングがあり、そこから会社員にも利用できる給料ファクタリングが派生しました。
そもそもファクタリングって何?
ファクタリングとは、企業や個人事業主などが支払い期日前の売掛債権を売却する資金調達方法です。
取引先に対する請求書を専門業者に売却することで、支払い期日前に現金を受け取ることができます。
ファクタリングの仕組みは売掛債権の現金化、請求書の現金化などと呼ばれています。
給料ファクタリングの仕組み
給料ファクタリングは、売掛債権ではなく、個人の給料を元に行います。
給料日前に「次の給料をあなたに売ります」と約束して、業者から現金をもらうのが給料ファクタリングです。
現金を受け取った人は、次の給料が出たらそれを業者に支払います。
給料ファクタリングには手数料がかかる
給料ファクタリング業者は、利用者の給料から差し引く手数料によって利益を得ています。
給料ファクタリングでは、給料日前に給料を受け取れる代わりに、業者に手数料を払う必要があります。
たとえば20万円の給料で、手数料が10%の場合
- 契約を交わす
- 業者から手数料2万円を引いた18万円もらう(借りる)
- 給料日に業者に20万円わたす(返す)
給料ファクタリングは違法なの?
給料ファクタリングの仕組みにはグレーな部分があります。
また、違法な営業をしている闇金業者も給料ファクタリング業界にはいるようです。
労働基準法では賃金債権を譲れない
そもそも労働基準法では、給料(賃金債権という)は誰かに譲れるものではありません。
つまり、給料を業者に売ること自体、間違っています。
会社が売掛債権(請求書)を売却するファクタリングは合法ですが、給料を売るファクタリングは違法です。
貸金業者として登録していないのは違法のヤミ金業者
給料ファクタリングの仕組みは売掛債権の売却とは異なり、根本的に成り立っていません。
また、現実的なお金の流れとしても、業者は給料を契約者の会社からではなく、契約者本人から受け取って回収します。
つまり、実質的には給料を買い取っているのではなく、単なる融資にすぎません。
そのため、給料ファクタリングを合法的に行うなら「貸金業者による貸金業」という扱いになります。
しかし、業者の中にはきちんと貸金業者として登録しておらず、違法な取引を繰り返す悪質な業者が多く存在しています。
利息制限法の範囲を超えるのは違法
違法に営業している業者には、法外な手数料を請求する業者もいます。
利息制限法の範囲を超える利率の手数料を取るのも違法です。
利息制限法では、融資金額に応じて上限金利が年15%~20%と決まっています。
日本貸金業協会より
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こういうのも違法。会社員は気を付けて。
違法業者に関わるとロクなことがない
違法業者の多い給料ファクタリングですが、「いや、使った方が便利なんだけど!」という人もいるでしょう。
しかし、違法業者はしょせん違法。
関わると、とんでもない目に遭うかもしれません。
最初は感じよく接してくれても、そのうち本性を表すでしょう。
違法かつ悪質な取り立て
違法業者で怖いのは、執拗な取り立てです。
こちらがきちんと返済をしていれば問題はありませんが、いざ支払いが遅れたら、どんなに怖い取り立てをしてくるか分かりません。
夜中の訪問や電話、暴言を吐いたり会社に伝えると脅されたり。
そもそも法律を守った業者ではないから、どんなことでもします。
異常なほど高い手数料を取られる
違法な取り立ても「返済していれば関係ないじゃん」と言えます。
しかし、違法業者は異常なほど高い手数料なので返済が難しくなることも多いものです。
少額の利用の場合には、利息も少なく見えますが、実は利息制限法の範囲を超えていることも。
たとえば10万円のファクタリング利用で2万円の手数料をとられたら違法です。
カモリストに載せられ勧誘が増える
違法業者と関わると、業者間で出回っている、いわゆる「カモリスト」に載せられる可能性もあります。
カモリストとは、文字通り悪質な業者がカモにする客のリスト。
なぜか他の業者からの勧誘電話などが増えたら要注意です。
給料ファクタリングには他の問題も
給料ファクタリングは、違法業者以外にも生活の破綻を招く問題点をいくつも持ち合わせています。
依存性が高い
一度給料ファクタリングを利用すると、再び金欠になった際に利用したくなります。
そもそも一度使うと、給料を全額受け取れなくなるため、次の給料日までの生活も苦しくなる可能性大です。
また「今月も苦しいから早めに給料を受け取りたい」と利用したくなります。
利息が高い
給料ファクタリングは、悪質業者でなくても利息(手数料)が高く、大幅にお給料を減らす原因となります。
多重債務に陥る
依存性の高さは、多重債務のリスクも増やします。
二度三度と繰り返せば、どんどん利用が前倒しになり、かえって生活が苦しくなりかねません。
給料ファクタリングにメリットはある?
給料ファクタリングは、以下のようなメリットが見られるため、時には便利に使えます。
ただし、こうしたメリットは給料ファクタリングへの依存や悪質業者にハマったりする原因にもなるため、一概に「良い」「メリット」とは言えません。
個人でも手軽
給料ファクタリングは、個人でも手軽に利用できる現金化の方法です。
お金に困った時にも、会社員として給料を受け取っていれば利用できます。
電話一本、メールのやり取りでできる業者も多く、来店の必要すらありません。
普通の融資より審査が柔軟で速い
給料ファクタリングは、一般的な融資よりも審査が柔軟でスピーディーです。
基本的には給料をもらっていれば、資産や年収などを調べられることはありません。
金融機関でお金を借りるよりもずっとハードルが低く感じられます。
※勤務先に知られずに利用できる
基本的には、給料ファクタリングは自分と業者間のやり取りになります。
そのため、給料を払っている会社に知られることはありません。
悪質業者の場合「会社にばらす」と脅すことはあるかも。
給料ファクタリングを安全に活用するためのポイント
給料ファクタリングをやむを得ない理由で使う際には、以下のポイントを押さえて利用しましょう。
給料ファクタリングは使い過ぎない
給料ファクタリングを使う際には、繰り返し利用しないようにしましょう。
使うなら1度、もしくはたま~に。
繰り返し使う人は家計の見直しが必要です。
生活費が足りないために使う場合も、「急な出費がかさんだ」という理由ならともかく、日ごろから足りない人は要注意です。
給料ファクタリングでその場しのぎの解決をするのではなく、根本から生活を見直しましょう。
その場しのぎに使おうとすると、繰り返し使ってしまい多重債務に陥るリスクが高くなります。
手数料が高すぎる業者には近づかない(どんなに良さそうに見えても×)
給料ファクタリングは悪質業者にハマらないように業者選びにも注意しましょう。
どんなに感じの良さそうな業者、便利に使えそうな業者でも、手数料が高すぎる業者はNGです。
トラブルに巻き込まれたらすぐに専門機関に頼る
悪質業者などのトラブルに巻き込まれたら、すぐに専門機関を頼りましょう。
「恥ずかしい」「怒られるかも」といった考えは捨てて、自分を守ることだけを考えて行動することが大切です。
頼れる相談先には以下のようなものがあります。
- 警察へ相談
- 金融庁の金融サービス利用者相談室へ相談
- 日本貸金業協会へ相談
- 消費生活センターへ相談
- 弁護士や司法書士へ相談
給料ファクタリングの利用はほどほどに。できれば避けて
給料ファクタリングは、「ファクタリング」と名乗ってはいますが、つまりは「貸金業者」からの借金です。
手数料は高く、悪質業者も多く、トラブルに巻き込まれることもある……と、あまり良いことはありません。
本当に一時的な家計の悪化で使うのであればともかく、日常的に使うのだけは避けましょう。
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