コンピテンシー・トラップ(Competency Trap)は、両利きの経営では気を付けなければならないことです。
イノベーションを目指す企業には、コンピテンシー・トラップに陥らないように、「知の深化」を継続する一方で「知の探索」を怠らない組織体制・ルール作りが求められます。
「両利きの経営」とは
「両利きの経営(Ambidexterity)」は、まるで右手と左手が上手に使える両利きの人のように、知の探索と知の深化を高い次元でバランスよく行う経営です。
本流のビジネスとその次のビジネスのバランスをとる経営
企業が成長するため、本流のビジネスの維持だけでなく、その次に来るビジネスをバランスよく育てるのが両利きの経営です。
本流のビジネスで勝ち続け、さらに次のヒットも生むことが企業の成長には必要です。
オライリー教授が提唱
米スタンフォード大学経営大学院のチャールズ・オライリー教授の理論です。
既存事業を維持しながらも時代の変化に対応するために、新規事業を起こしてどちらも運営するというのが、教授の考え方になります。
ジェームズ・マーチ教授が提唱
「両利きの経営」というのは、アメリカ合衆国の社会学者、政治学者でスタンフォード大学の名誉教授ジェームズ・マーチ氏によって提唱された考え方です。
イノベーションを起こすためには「知の探索(Exploration)」と「知の深化(Exploitation)」の両輪で、「知の範囲」を広げ続けることが大切えあると考えています。
イノベーションのジレンマを打開
クレイトン・クリステンセン教授の提唱するイノベーションのジレンマを打開できる経営論です。
コンピテンシー・トラップの本質は組織の問題ですが、イノベーションのジレンマは経営者や幹部の認知の問題だと言われます。
コンピテンシー・トラップとは
短期的に効率が高い「知の深化」に偏り、「知の探索」を怠るような心理的なトラップです。
既存事業は、新規事業よりも効率は高いけど、新規事業を怠ると企業は進化できず、時代のニーズに遅れてしまうこともあります。
サクセストラップともいう
本流のビジネスで成功したことが足を引っ張るトラップになるため、コンピテンシー・トラップは「サクセストラップ」とも言います。
コンピテンシー・トラップもサクセストラップも、同じ意味です。
両利きの経営が機能できないようになる
コンピテンシー・トラップによって両利きの経営が機能しないようになります。
本流のビジネスで成功した企業では、それを引きずり、本流を追う「知の深化」はできるけど新しいビジネスを見つけるための「知の探索」ができなくなります。
コンピテンシー・トラップにハマらずに両利きの経営を成功するために
コンピテンシー・トラップがあると、両利きの経営がうまく機能できません。
コンピテンシー・トラップにハマらずに、両利きの経営をするためにはどうすれば良いのでしょうか。
必要な考え方や経営のコツを覚えておきましょう。
2つのグループをマネージメントする両利きのリーダーシップ
両利きの経営では、「知の深化」や「知の探索」をする人をグループ分けし、グループをマネージメントして2つのグループが働きやすくすることが大事です。
そうなるように経営者はリーダーシップを取っていきましょう。
リーダーシップに取る経営の責任者が両利きの経営理論を持っていることで、両利きのリーダーシップを取れます。
2つのグループが情報交換ができる関係
二つのグループが情報交換することで、滞りなく2つの事業を推進できます。
「知の探索」のグループによって開拓した分野を「知の深化」の対象にするといった関係を作ります。
知の探索では開拓の仕事が多くなりますが、深化は得意ではありません。
知の探索グループは開拓した後知の深化のグループに作業を任せることで、コンピテンシー・トラップにハマらず事業を正しく導けます。
両利きの経営でコンピテンシー・トラップにハマらないように
両利きの経営では、コンピテンシー・トラップが邪魔して知の探索ができにくくなることもあります。
企業が既存の主力事業や過去の成功体験にとらわれて従来のビジネスモデルに固執し、新たな可能性を視野に入れなくなることをコンピテンシー・トラップといいます。
両利きの経営で企業の成長を図る必要のある経営者や経営幹部は、コンピテンシー・トラップについて認識しておくことが必要です。