学生の頃、「将来はやりたい仕事でバリバリ働いて、給料もたくさんもらって…」と夢みたことはありませんか?
働き出して、現実が見えてくると、やりがいのある仕事を持ち、心もふところも充実した人生を歩むことの難しさを知り始めます。
社会に出て数年もすると、やりがいか収入に不満を持ち、「このままでいいのか」と転職を考え始める人もいるでしょう。
今回は、やりがいとお金、仕事で重視した方がいいのはどちらなのか、検証してみます。
やりがいと年収を両立させるのは難しい
やりがいのある仕事は収入が低かったり、収入の高い仕事は面白くなかったり、どちらも両立させることは意外と難しいもの。
もちろん、どちらも叶えている人もいますが、最初から叶えられる人はほとんどいないでしょう。
また、やりがいにせよ年収にせよ、それを叶えるための犠牲が(仕事としては)大きすぎることもあります。
下積み時代につまずく「やりがいある仕事」
特に専門職や芸術系・クリエイティブ職には、下積みが長く、給料が安い仕事が多くみられます。
漫画家や芸人などはもちろん、普通に就職した場合でもアニメーション制作会社、テレビ局のAD、パティシエなど、下っぱは給料が安い上に仕事がキツイ業界や職業は多いものです。
ブラック企業体質やパワハラ、労働基準法も守られているのか分からないほどの職場もあります。
そのため、仕事自体にやりがいはあっても、結局やりがいを感じられる前に挫折することも多くなります。
こんな人もいる!
【筆者の知人(元アニメーター)の話】
「最初に入った小さなアニメ制作会社が超ブラックでした。 給料は普通でしたが、残業、休日出勤、仕事持ち帰りは当たり前、景気のいい時だったから、パーティーや飲み会も多くて強制参加でした。 珍しい体験や声優さんに会えるチャンスなど、楽しかったけど、一生続けられないと思って辞めました。 今もたまに外注で仕事受けてるんですけど、やっぱりメールが来る時間や締切時間が深夜とか日曜の夜とかって時もあるんですよね・・・。 あの業界、どうなっているんでしょうね・・・」 |
業務はキツく面白くない「最初から年収の高い仕事」
仕事自体は比較的簡単で、誰でもすぐにでき、それでいて最初から割と稼げる仕事もあります。
運送・運輸系は、必要最低限の資格(運転免許証など)があり、仕事の手順を覚えれば、比較的短期的に稼げるようになる人が多いです。
また、大手企業の工場ラインも給料は高く、しかも割と着実に昇給していきます。
特に夜勤ありの職場は高給です。
しかし、運転や立ち仕事、単調な作業は疲労も溜まりやすく、よほど好きでないと飽きます。
こんな人もいる!
【筆者の知人(大型トラックドライバー)の話】
「本当はイラストレーターになりたかったんですが、プロになるのは難しいため断念しました。 仕事はきついけど、お金をたくさん稼げるため、趣味も充実できて幸せです。 最新のiPadProを買ったり、高級画材を買って趣味で絵を楽しんでいます。 それに、自分は意外と運転も好きだったみたいで、仕事も楽しいんですよね!」 |
やりがいある仕事と年収の高い仕事
それぞれのメリットとは
上記のような極端な事例ではなく、ある程度安定した職場を選び、やりがいや年収を叶えた時、得られるメリットについてチェックしてみましょう。
個々の考え方によってどちらに価値を感じるかは分かれますが、どちらにも良い面があります。
やりがいのある仕事に就くメリット
収入はそこそこでも、やりがいのある仕事に就くことで、こんなメリットが得られます。
毎日ワクワクできる
やりがいのある仕事、自分の好きで選んだ仕事は、毎日楽しく働けて、ワクワクできます。
一日の大部分を占める仕事の時間を楽しむ事ができるのは、とても有意義です。
下積みの辛ささえも、「自分のやりたいことをするためのステップだ!」と思えるかもしれません。
スキルアップやキャリアアップを前向きにがんばれる
やりがいのある仕事に就けたら、スキルアップやキャリアアップへの意気込みも変わります。
勉強や試行錯誤、難しい仕事へのチャレンジは、辛いこともあり、継続できないこともありますが、好きなことであれば乗り越えやすいでしょう。
前向きにがんばれるので、おのずとスキルアップの進みも早くなりそうです。
年収の高い仕事に就くメリット
やりがいはなくても、収入の高い仕事に就くことでこんな良いことがあります。
衣食住や趣味を充実できる
やりがいはなくても年収が高ければ、衣食住に不安を感じることなく、毎日ゆとりをもって暮らせます。
仕事ではあまり面白いと思えなくても、その分、お金があるからプライベートを充実できます。
趣味やファッションなど、自分のやりたいことをお金の心配なく満喫でき、メリハリもって働けそうです。
結婚や将来の不安が少ない
年収が高ければ、将来の不安を減らせます。
結婚する場合でも、配偶者を養う、共働きで高年収世帯を目指すなど、さまざまな選択肢が生まれます。
お金がなければ、安心して配偶者を専業主婦(夫)にすることなどできません。
やりがいある仕事と年収の高い仕事
それぞれのリスクとは
仕事には、やりがいを求めても、年収を求めても、それなりにリスクはあるものです。
完全で完ぺきな理想の仕事などはないものと考え、それを選んだ時に起こりえるリスクに備えましょう。
あらかじめ知っておくと心づもりができます。
やりがいのある仕事に就くリスク
やりがいのある仕事についても、それはそれで幸せになれないこともあります。
また、そもそも、その仕事へのやる気や情熱はずっと続くのでしょうか?
熱中しすぎてワークライフバランスが乱れるかも
やりがいある仕事は、楽しく充実した日々をくれます。
しかし、そのために仕事に熱中し過ぎてワークライフバランスを崩す恐れもあります。
いつもいつも仕事のことが頭にあり、友人や恋人、家庭をないがしろにしてしまう人もいます。
ふと気が付いた時には、一人ぼっちだった…なんてことになるかも?
仕事に飽きたら急速につまらなく感じるかも
やりがいを求めて仕事を選んだ場合、その仕事に飽きた時に、何もかもがつまらなくなり、仕事を変えざる得なくなるかもしれません。
特に、仕事の量や難しさと年収が見合わない場合、仕事自体への尊敬や自分のプライドが損なわれることも。
長くやってきた場合は特に、時間を無駄にした思いから、後悔の念が押し寄せそうです。
年収の高い仕事に就くリスク
年収だけを見て仕事を選んだ場合にも注意したいことはあります。
収入は大切ですが、それだけを考えたあまり、次のようなことが起こるかもしれません。
収入にこだわりすぎることも
年収が高いけれど、仕事があまり楽しくない場合、年収を自分のやりがいの理由にしてしまい、お金にこだわり過ぎてしまうことがあります。
こだわりが過ぎると、友人同士や同期との会話で年収を自慢する話が多くなったり、他の人の年収が気になり出したりしやすくなります。
収入が下がった時に自分の価値を見失うことも
年収に重きを置いて仕事を選んだ場合、年収が下がった時に仕事や自分の価値を見失う恐れがあります。
稼げない自分に自信を失い、急速に仕事へのやる気をなくしてしまうことも。
また、高年収の時は友人たちの前で鼻高々だったのが一転、萎縮して人付き合いが悪くなることもあります。
やりがいも高年収もいずれ失うかも知れないもの
やりがいや高年収は、仕事を選ぶ際に大切なものですが、どちらか一方への思いが強すぎると、後々大変な思いをすることもあります。
どちらも場合によっては失う可能性もあると理解し、失った時に自分がその仕事を続けられるか、自分の心に問いかけてみましょう。
自分だけで決められない場合には、アドバイザーに相談しながら転職できる転職エージェントがおすすめです。